椅子の接客をしていて一番多い質問が「板座と張座どちらがいいですか?」という質問です。どちらにもメリット・デメリットがあるので、難しい質問なのですが、それぞれの特徴をまとめてみました。
椅子の座面は大きく2パターン
椅子の座面には板座と張座の大きく2パターンあります。メーカーによって得意不得意がありますが、当店の椅子全体の購入数でいうとどちらも半々くらいの割合です。
板座とは
板座とは椅子の座面が木の板で作られた椅子こと。
張座(布張り)
張座とは椅子の座面が布や革で張り込みで作られた椅子のこと。布の中にはウレタンなどクッション性の高い素材が使われることが多いです。
どちらもメリット・デメリットがあります。この記事では椅子の座面のみに着目しますが、椅子全体の座り心地に関しては以下の記事を是非参考にしてください。
板座のメリット・デメリット
板座のメリット
- 座面が木なので汚れを手軽に拭き取ることができ、手入れがかんたん
- ヘタる心配がほぼないのでメンテナンスの費用が低い
- 天然木の感触が気持ち良い
- 座面が天然木のため癒し効果が高い
布や革の張り座と比較すると特に手入れに関する違いが重要になります。そして大事な座り心地ですが、当店が扱う国産チェアは基本的に丁寧に座刳り(ざぐり)加工が施されています。座刳りとは椅子の座面をお尻の形に合わせて「かんな」や「のみ」などで削り出すことをいいます。それにより、座面は板座とは思えないほどのフィット感でお尻を優しく包み込んでくれます。
ざぐりがあることで座り心地は格段に上がりますが、手間がかかる分、椅子のお値段も相応に上がります。ざぐりの削り出しの深さは好みがあるので、是非色んな椅子に座ってみてください。
板座のデメリット
- 重い
- 座面がひんやりする
- 長時間座るとお尻が痛くなる場合がある
板座のデメリットはやはり重さです。木という比較的重い素材をふんだんに使うことである程度の重さが出てきます。アームチェアになると特に重さは顕著です。座り心地に関しては、前述の「ざぐり」の有無で差が出ますが、クッション性の高い張座と比較すると長時間の座りで痛くなる場合がございます。
板座のデメリットを回避する方法は?
そんな板座のデメリットを回避する方法がいくつかあります。
1つは置きクッションを置くということです。冬場や長時間座る際だけ使用することでデメリットが回避できます。メーカーの専用品はピッタリ収まりますが、1万円近くします。冬場だけ使うのであれば1000円程度の市販品でもいいかもしれません。
重さに関しては、コンパクトで軽快な椅子も最近では多くなりました。あとは板座でも座り心地が良いと思える椅子を探すということです。その人の体型や体重などによって座り心地の感じ方は千差万別です。是非色んな椅子に座ってみてください。
張り座のメリット・デメリット
次に張座のメリットとデメリットです。
張り座のメリット
- 座面の素材、色の選択肢が多くコーディネートが楽しみやすい
飛騨産業やナガノインテリアのように受注生産の国産家具メーカーは張り布の種類が100種類を超えます。布、皮、合皮など素材の種類も豊富ですので明るい色でコーディネートを楽しむことも可能です。
- 軽い
- 座面の座り心地が柔らかく、やさしい(クッション性が高い)
- 座面の張り替えができる
軽さをウリにした椅子が多いのも張座の特徴です。最近ではセミアームチェアでテーブルに掛けれるタイプも多く、掃除がしやすいと評判です。
張座のデメリット
- 汚れの手入れが大変
- 張り替える場合の費用が掛かる
布張りの場合、やはり気になるのは食事の食べこぼしなどの手入れです。服でも汚れが取れない場合があるように、椅子の座面も強い汚れが付くと、拭いても取れない場合があります。また服と違って洗濯ができないため、小さなお子様がいらっしゃるご家庭では特に手入れについては気になります。
張材の椅子は座面の張替ができることがメリットでもあるのですが、実際にメーカーに依頼をすると配送費込みで2-3万ほど掛かる場合が多いです。なかなか気軽にはできる金額ではありません。
張座のデメリットを回避する方法は?
そんな張座のデメリットを回避するいくつかの方法があります。
- カバーリング仕様の椅子を選ぶ
座面の布張り部分がマジックテープなどで簡単に取り外し、また布が洗濯できるタイプが増えてきました。このタイプであれば汚れの手入れや張替による費用の心配がありません。
また飛騨産業の人気生地スピリットのアクアクリーンなどのように水でふき取ることで汚れが落ちやすい布や、革のような布、汚れが付きにくい布など新しい布が出てきています。
結局どっちがいいの?
手入れのしやすさや重さに関しては椅子によって最新の生地を遣ったり、デザインで工夫することで回避できるものもあります。最終的には座り心地、また椅子のデザインの好みによるところが大きいです。ダイニングスペースの中で座面の色でコーディネートを楽しむ場合は張座になるでしょうし、色々座ってみて気に入った板座があれば板座の椅子がおすすめです。
ただ張座の椅子と比べ、板座の椅子の座り心地は椅子によって大きく違います。丁寧に作られた国産の椅子は板座でも驚くほど座り心地がいいです。(値段もそれ相応に上がりますが)是非、表面的なメリット、デメリットだけでなく色んな椅子に座ってみてください。