家具選びをしているとよく見かける、ホワイトオークとレッドオーク。どちらも国産家具の人気の樹種です。名前も見た目もよく似たホワイトオークとレッドオーク。実際にどこが違うのでしょうか。
ここ最近、話題になる背景
どれも似た樹種で、家具では人気でしたが、その違いが特に話題になってきたのはここ数年のことです。いわゆる「ウッドショック」問題により、木材の値段が上がったり、物理的に枯渇してきた材がでてきました。
樹種的にはナラ>ホワイトオーク>レッドオーク の順に人気・値段が高かったのですが、あまりにナラ・ホワイトオークが高騰したため、代替材としてレッドオークに生産を切り替えるメーカーが増えてきました。また某家具メーカーさんの話では「ナラは材料としてはは20〇〇年には地球上からなくなる」という話があるほど希少な材になってきたそうです。
楢材の家具といえば広島に本社がある浜本工芸さんですが、年々ホワイトオーク、レッドオークの家具が増えてきたのはそういった背景があります。
ホワイトオークとレッドオークとナラ
植物学的な違い
まず植物学的にはホワイトオーク、レッドオーク、ナラは全てブナ科コナラ属の落葉性広葉樹になるので、ほとんど同じです。総称してすべてをオークと呼ぶこともあるくらいですので、ざっくり言えば同じです。
家具材としての違い
家具に使う材としてはどれも丈夫で、曲げなどの加工もしやすく家具に最適な高級材です。基本的には色味や木目の違いで好みで選んで頂いて問題ありません。
↑は宮崎椅子製作所さんの工場内の写真ですが、同じデザインの椅子を色んな樹種で作っています。色味の違いはお部屋のコーディネートや好みで選んで頂ければ問題ありません。
産地の違い
- ナラ:北海道やロシアなど寒い地域を中心
- ホワイトオーク:北米
- レッドオーク:北米
ナラ材が寒い地域で育った木材なので木目がしっかり詰まっていると言われます。ただ天然木なので個体差もあります。
木目や色目の違い
ナラとホワイトオークの違いは非常に微妙です。ナラの方が目が細かいと言われるのですが、なかなかプロでも見分けがつくものでもありません。また同一メーカーでわざわざナラとホワイトオークを選ばせるような販売をしているところもありません。
大きな違いはレッドオークとの違いです。下は宮崎椅子製作所さんの樹種サンプルです。
ウォールナットは明らかに違いますが、ナラ、レッドオーク、ブナは白木系で色味は似ていますが、レッドオークはやや赤みが掛かっています。(レッドオークとブナの色味は似ています。)木目はナラとレッドオークではあまり違いがありません。
↓は左がナガノインテリアのレッドオーク、右が宮崎椅子製作所のナラです。レッドオークが少し赤っぽく、ナラは黄色味がわずかにかかっています。
価格の違い
ナガノインテリアのDC343で比較
ナガノインテリアで人気のハーフアームのDC343で比較してみます。(生地ランクは2で固定)
・レッドオーク:37,000円(税抜)
・ホワイトオーク:46,000円(税抜)
シリーズによって価格差は違いますが20%前後くらいレッドオークの方がホワイトオークよりも安いです。
宮崎椅子製作所のUNI-Masterで比較
カイクリスチャンセンがデザインの人気チェア。こちらの価格を比較しました。張り布はCランクで固定。
・レッドオーク:93,500円(税込)
・ナラ:111,100円(税込)
シリーズによって価格差は違いますが20%前後くらいレッドオークの方がナラより15%前後安いです。
レッドオークの色味をカバーするには?
レッドオークの方が安いのは嬉しいけど色味がちょっと気になるという方にはこちらがおすすめです。
- テーブルと椅子は同じ樹種でそろえる
- 塗装で色を付ける
まず、大事なのはテーブルと椅子の樹種をそろえることです。予算を節約するためにテーブルはホワイトオーク、椅子はレッドオークというようなことは余計に違いが目立つので絶対におすすめしません。全部統一することでレッドオークのわずかな赤身はほとんど気になりません。
それでも気になる方は色のついた塗装はいかがでしょうか。
メーカーによって塗装色のバリエーションはことなりますが、上記のナガノインテリアではレッドオークのウレタン塗装が8色もあります。特に濃茶や黒などを希望する場合は木目が分かりませんので、安価なレッドオークはおすすめです。
最後に
国産家具で検討すると、これまで気にしなかった家具の樹種を目にすることが多いかと思います。是非、違いを分かったうえで、ご予算や好みによってご検討して頂ければと思います。