家具キノクニヤ店長
ペットがいても、お気に入りのソファを選んで欲しい。必要なのは「ペット用の家具を買う」ことではなく、「ペットと一緒に使える家具を選ぶ」という視点です。そして、ペットと暮らすための家具選びの最低限の知識です。
ペットがいる家庭がソファ選びで「諦める」理由
猫や犬と暮らしていると、ソファ選びにブレーキがかかる瞬間があります。
猫なら爪とぎ。ソファのアームや背面を標的にされると、生地がほつれてみるみるうちに傷んでいきます。犬なら噛み癖や粗相。どんなに気をつけていても、完全には防げない。そして犬猫どちらにも共通するのが、抜け毛です。ファブリック生地に絡みついた毛は、掃除機をかけても取り切れないことがある。
だから「いいソファを買っても、すぐにダメになる」という結論になってしまう。その気持ちは、とてもよくわかります。
ただ、そこで安いソファを選び続けた結果、どうなるでしょうか。
安いソファを選び続けると、起きること
安価なソファは、数年で傷みます。生地がへたり、フレームがきしみ、クッションが型崩れする。ペットがいればそのスピードはさらに早い。

5〜6万円のソファを3年ごとに買い替えると、10年で20万円ほどになります。処分の手間もかかる。その間ずっと、「また傷つけられた」「またへたった」というストレスを抱え続けることにもなります。しかもペットと暮らす楽しい時間は有限です。せっかくならお気に入りの家具で、一緒に暮らす時間がいいのではないでしょうか。
一方で、最初からペットと一緒に使えることを前提にした、品質の高い家具を選べばどうでしょう。お気に入りの家具との気持ちの良い時間。そして傷がついても修復できる構造、汚れても対処しやすいカバー、ほつれにくい生地——そういう家具は、長く使えます。長く使える家具は、結果的に金銭的にも安くつくかもしれません。
「いい家具はペットがいると無理」ではなく、「ペットがいるからこそ、いい家具の方が合理的」という考え方もできます。
「ペット用ソファ」という発想を、一度疑ってみる
市場には「ペット用ソファ」という商品カテゴリがあります。でも少し考えてみると、これは少し不思議な発想です。
犬や猫は、飼い主と同じ空間でくつろぎたがります。飼い主がソファにいれば、隣に来たがる。ペット専用のソファを別に置いても、結局は飼い主のソファに乗ってくる——そういう話はよく聞きます。
それよりも、「人もペットも一緒に使えるソファ」を最初から選ぶ方が自然ではないでしょうか。デザインを妥協せず、座り心地も確保しながら、ペットがいても安心して使える——そういうソファは、実際に存在します。
ペットと一緒にくつろぐために、本当に大事な3つのこと
① 生地選び——引っかきや汚れに強く、かつ人も心地よい素材を選ぶ
ペット対応の生地と聞くと、「機能優先で見た目がいまいち」というイメージがあるかもしれません。ところが、最近の機能性生地はそうではありません。
たとえばスエード調の人工皮革「ディナミカ」は、旭化成が開発した素材で、引っかきに非常に強く撥水性も備えています。見た目は上品で、触り心地もなめらか。「これがペット対応生地?」と驚かれることも多い素材です。

また「アクアクリーン」加工が施された生地は、水だけで汚れが落ちます。コーヒーをこぼしても、ペットが粗相をしても、水拭きで対処できる。毎日使うソファに、これは大きな安心感です。
機能と見た目は、今や両立できます。特にここ数年の家具の展示会は機能的な生地の新作が多数と、年々深化しているんです。
② 座面の高さ——ペットが自分で上り下りできるかどうか
ペットと一緒にソファでくつろぎたいなら、ペットが自分で上り下りできる高さかどうかは大切なポイントです。
座面が高すぎると、小型犬やシニアの犬・猫には負担になります。特にミニチュアダックスフンドのような胴長の犬種は、ジャンプの繰り返しが椎間板に負担をかけることがあります。座面高が低めのソファか、ステップを併用できる設計かどうかも確認しておくと安心です。

「ペットが自分で上がれる」ということは、「飼い主が毎回抱き上げなくていい」ということでもあります。お互いにとって、ストレスが少ない。
③ カバーが交換できる構造——傷んでも部分的に直せる安心感
どんなに気をつけていても、長く使えば生地は傷みます。そのとき「ソファごと買い替える」か「カバーだけ交換できる」かは、大きな違いです。

カバーリング仕様のソファであれば、傷んだ部分だけを交換できます。新しいソファを買うよりはるかに安く、廃棄の手間もない。ペットがいる家庭では、この「部分交換できる」という構造が、長期的なコストを大きく下げます。
④ ソファのサイズ・奥行き
人とペットが一緒にくつろぐなら、サイズと奥行きも重要です。奥行きが浅いソファは人間にとってはコンパクトで使いやすくても、ペットが乗ったときに窮屈になりやすい。猫は「ちょうどいい場所」がないと乗らなくなることもあります。

目安として、奥行き80cm以上あると人とペットが並んでくつろぎやすくなります。また3人掛け以上のサイズがあると、人が寝転がっても猫や小型犬の居場所が確保できます。「一緒にくつろぐ」ことを前提にするなら、少し大きめを選ぶのが正解です。
⑤ アームや角の形状
ペットがいる家庭では、家具の「角」も気にしておきたいポイントです。猫や犬がソファの周りを走り回ったり、勢いよくジャンプして着地したりするとき、鋭い角にぶつかると怪我につながることがあります。丸みを帯びたアームデザインや、角が面取りされているソファの方が安全性は高いといえます。

猫の爪とぎは、垂直な面に立ち上がって引っかくのが基本的な動作です。ソファでいうと、アームの側面が標的になりやすい。アームレスタイプはその面積がそもそもないため、爪とぎの被害を受けにくい傾向があります。ただしアームありが好みであれば、アームが細めのデザインや丸みのある形状を選ぶことで、引っかかりにくくなります。
3メーカーのペット対応生地
当店が取り扱う3メーカーには、それぞれペット対応の生地が用意されています。どのメーカーも引っかきや汚れに強い生地を選べるので、ペットがいるからといってメーカーの選択肢を狭める必要はありません。
| メーカー | 生地名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 飛騨産業 | ディナミカ | 引っかきに強い・撥水性あり |
| スピリット | アクアクリーン・水だけで汚れが落ちる | |
| ガウチョ | 引っかき、汚れにも強い | |
| ナガノインテリア | AF83*シリーズ | スクラッチフリー・ウォッシャブル |
| ベルベット調生地 | 引っかき強度に優れる | |
| 浜本工芸 | アクアクリーン対応生地 | アクアクリーン・水だけで汚れが落ちる |
| ガウチョ | 引っかき、汚れにも強い |
ただし、各生地がすべての商品・シリーズで選べるかどうかは商品ごとに異なります。詳しくはLINEやメールでお気軽にご相談ください。ペットの種類や気になる悩みをお伝えいただければ、具体的な生地と商品をご提案します。
ペットと、いいソファで長く暮らすという選択
「ペットがいるから」という理由で、家具を妥協しなくていい時代になっています。
引っかきに強い生地、汚れが落ちやすい加工、カバーを交換できる構造——これらは今や、デザイン性の高い国産家具にも普通に備わっています。ペット対応と高品質は、もう両立できます。

大切なのは「ペット用を買う」ことではなく、「ペットと一緒に長くくつろげる家具を選ぶ」こと。その視点で選んだ一台は、何年も、ペットとの時間を豊かにしてくれるはずです。
よくある質問
あります。スエード調の人工皮革「ラムース」は、旭化成が開発した3層構造の素材で、猫の爪が引っかかりにくく傷もつきにくいのが特徴です。飛騨産業・浜本工芸の一部商品で選択できます。またナガノインテリアの「AF83*シリーズ」もスクラッチフリー加工でひっかきに強い人気の生地です。どの商品に対応しているかはお気軽にご相談ください。
座面高が低めのソファ(目安:35cm以下)や、フロアタイプのソファが上り下りしやすいです。シニアの犬や胴長の犬種(ダックスフンドなど)は特に足腰への負担を考えると低めの座面がおすすめです。ソファによってはセミオーダーで高さの変更が可能です。お気軽にご相談ください。
メーカー・商品によって異なりますが、当店で取り扱うナガノインテリア・飛騨産業・浜本工芸はいずれもカバーリング仕様の商品が多く、カバーや中材の単体購入・交換に対応しています。廃番品でも対応できる場合がありますので、まずはご相談ください。









